そのひぐらし

旅だけがアイデンティティ

"どこでもきっぷ"で関西を好き勝手旅した話 Part2

2021/12/14 13:29

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正面に見える丘は"馬の背"っていうらしい

ひたすら広がる砂と空。あまりのスケールの大きさに人間の無力さを感じる。モンゴルの砂漠を想起させる。行ったことないけど。

12月のど平日とあって観光客の姿はまばらだ。狙い通り。

 

 

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"馬の背"の巨大さがわかる

ファインダーを覗いてズームする。高低差もさることながら、傾斜がヤバい。修学旅行生が砂山を爆速で駆け下りていくのを眺める。先生と思わしき人々が下から不安そうに見上げている。こけずに降りれると歓声が上がる。これで君もクラスの人気者だ。

 

1人旅の私も馬の背を登ろうと試みる。同行者がいない旅ではおふざけを入れる必要がない。ふざけた先にあるのは風の音と虚無だけ。1人で真面目に砂山の途中でここなら登れそう...ここは厳しそう...と試行錯誤しているのはなかなかに怪しいだろう。無邪気に砂で遊んでる家族連れに指差されないように...。

 

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馬の背から見る日本海

大衆が想像する"日本海"まんまだ。吹き荒れる風に身を任されそうになりながら白いうねりを伴う青い海を眺める。山"陰"、山"陽"という文字で表される通り、どうしても瀬戸内(太平洋)には明るいイメージ、日本海には暗いイメージを持ってしまう。日本海側にお住まいの方には不本意なことだと思われるが、ここで眺めた日本海は太平洋のリゾートでありがちな華やかさは全くなく、海の本質を見ているような、海の怖さを感じられるような、"山陰"の由来を感じられるような荘厳な雰囲気を醸し出していた。故に、複数人でワイワイと眺めるよりも、私のような静かな一人旅に向いていると思った。

 

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果てしなく続く砂の丘

さて、キャプションに「果てしなく」と書いたが鳥取砂丘は東西16km、南北2.4kmほどと数字に起こしてみるとさほど大きいものではない。それでも観光可能な砂丘としては日本最大なのだが。このような砂と空以外何も写らない光景を見ると無限に続いてるんじゃないかっていう気がするね。そろそろ歩き疲れた。

 

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人気の少ない方へ歩いていくと風が砂を並び替えた跡が見られる。海底みたい。

 

疲れたのでそろそろ砂丘を出ることにしよう。ちなみに砂丘東口バス停側から砂丘に入り、馬の背までを往復すると砂丘ゆえの歩きにくさは当然、足元の悪い馬の背の傾斜のキツさ、あと物理的な距離も相まって足へのダメージは大きい。

 

 

2021/12/14 14:23

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裏口?入ってすぐ早速高度な技術を見せつけられる

砂地獄から脱出し、先ほどの砂丘センター見晴らしの丘で軽くお土産を買った後は次の目的地「砂の美術館」へ。ちょうどこの時は"チェコ・スロバキア編"が開催されていた。

鳥取砂丘 砂の美術館 - 世界初、「砂」を素材にした彫刻作品を展示する美術館

さっき見た子たちと同じだろうか、修学旅行生に紛れながら館内へ。っと館内に入る前になんかすごい彫刻を見せつけられる。残念ながら私には教養というものがないので精巧な彫刻を眺めても高度な技術を褒め、感嘆することしかできない。以下、私の拙い感想と共に作品をご覧あれ。

 

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館内中央で

とりあえずあまりのスケールの大きさにぶっ飛んだ。1枚上の写真のような作品がいくつも置いてあるのかと思ったらまさかの全体が砂で作られ、1つの大きな作品を作り上げているよう(に見える)。

 

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大きく眺めても規模感に圧倒されるのだが、驚きなのは細部を見ても恐ろしいほど作り込まれていることだ。本当に全てが砂で作られている。これは教養がなくても見入ってしまうほど魅力的だ。

 

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瞳の黒も彫りを深くすることで再現されている。1色の砂だけで造られた世界のはずなのに、どことなく彩りを感じてしまうのは流石に褒めすぎだろうか?

 

 

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表口。こっちから入ってくるべきだったか。

一通り感動しまくって館外へ。裏口から入ったせいで展示を全て見終えてからチェコスロバキア編の看板を見ることに。

 

鳥取で1番有名な観光地であろう、鳥取砂丘を滞在時間3時間で後に。

砂丘東口バス停から西町バス停まで乗車。

もっとゆっくりしていきたいが冬の日暮れは早い。あと1時間ちょっとすると暗くなってしまうのだから次なる目的地へ。

 

 

2021/12/14 15:21

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鳥取城址

鳥取市内で公共交通機関を使って行けそうな観光地は少ないようだ。ということで半ば消去法で選ばれた鳥取城址にやってきた。ネガティブなことを言えど私は城址には興味があるので普通に良い観光スポット。ただ誤算だったのが城址に行くにはこの山を登らねばならないこと。下調べが甘く、行きのバスで眺めるまで全く気づかなかった...。バス乗ってて察したよね。これ間違えたやんって。

この時間から見知らぬ土地で263mの登山をするのは危ない。あと後ろにも行きたい場所が残ってる。止むを得ず手前に見える石垣のとこまでだけは登ってみることに。

するとどうやら鳥取城址には日本唯一の円球型の石垣(天球丸)があるとのこと。下調べが甘いとこういったサプライズがあるからいいよね(下調べはちゃんとしましょう)。

 

 

足元の悪い石段を足首を挫きながら駆け上がる。何故か時間がない。

 

15:32

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夕暮れ迫る鳥取市街の眺め

石垣の上から鳥取西高や鳥取県庁の方角を望む。夕暮れ迫るということで赤みを増して撮影した。逆光がとんでもなくきつい。これが18万7千人が住む(2022年2月)鳥取県の県庁所在地の眺めか。さすが城址というだけあって眺めは抜群だ。

 

鳥取城は16世紀半ばに築城。戦国時代から江戸時代末期まで改修を受けながら存在し、そのため時代の流れによる城郭の変化を知ることができる。1871年に廃城。

 

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鳥取城址 天球丸

こちらが国内唯一の球面の石垣「巻石垣」だ。天球丸の石垣崩落を防止するために江戸時代後期に築き足されたものだという。残念ながら復元ではあるがこのような角を持たない石垣は見たことがなく、どうしても景色に馴染まない異質なものとして捉えてしまう。

 

滞在時間僅か30分ほど、再び西町バス停に戻り鳥取駅へ。

 

 

最後の目的地は...

 

2021/12/14 16:12

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行きたかった

そう、すなば珈琲

最近まで鳥取県は日本で唯一スタバが出店していない県として知られていたが、だからと言って鳥取県民はカフェに行かないのではなく、鳥取独自のチェーン"すなば珈琲"があったのだ。今でこそスタバが出店しライバル関係にある(と勝手に思っている)が、県外からやってくる観光客に対して未だ大きな存在感を示している。

 

実はすなば珈琲の営業時間が17時(LO16:30)⇦2021年12月当時までという事情でここまで押しに押されたスケジュールになってしまっていた。

 

ということでやってきたのは鳥取市役所店。鳥取駅から徒歩数分しかかからない好立地。隣に大きなイオンとスタバがあった。ちなみに外からだとすなば珈琲の存在を匂わせるものが何もなく、勇気を出して市役所の中に入ってみるまで場所間違えたかと思ってた。

 

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砂焼きコーヒー(¥300)とアイスクリーム(¥250)

誰もいない店内で食券を購入し店員のお姉さんに手渡す。番号を呼ばれたら取りに来るシステムらしい。合理化が進んでるね。

静かな店内で夕日に向かい、閉店までしばし1人の時間に浸る。一人旅においてこの時間がとっても良い。心を落ち着かせながら1日を振り返ってみる。ちなみに私は普段コーヒーを飲みません。なので気の利いたコメントはできませんが飲めないわけではないので美味しかったです。ほろ苦なコーヒーと甘いアイスの組み合わせが◎。

 

 

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日が沈む。今日も1日ありがとう。

窓がもう少し低かったらいいのに。ちなみに窓からの景色の左半分を占めてるのはイオン。

 

 

ゆったりとした時の流れに身を任せられるのも僅か、閉店時間が迫ってきたので店外へ。市役所内をぶらついていたら鳥取城址山陰本線スタバが一気に眺められるスポットがあった。

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鳥取市役所から見える列車と鳥取城址

鳥取城址に行こうと思ったらあの山の上まで登らにゃならんかったのか...。きっと壮観な眺めを得られただろうけど、泊まりで来る必要があるな...。

ちなみに17時で閉店したすなば珈琲に対して眼下のスタバはまだ営業しており、駐車場から察するに客足もそれなりにある様子。やっぱり全国チェーンは流行るんだなぁ。

 

 

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夜の帳が下りる頃...

すっかり日も落ちた鳥取駅に帰ってきた。こうして駅を見てみると新幹線の停まる駅みたいだ。ちなみにご存知の通り鳥取どころか山陰に新幹線は通っていない。構想はあるみたいだが。⇨山陰新幹線 - Wikipedia

あとは18時40分の特急の出発まで目的地は何もない。先ほどの市役所の隣にあったイオンに行ったり駅下の商店でお土産を買ったり周辺の商店街をブラブラしたり。探せば日が暮れてからも行けるようなスポットが駅近にあったのかもしれないが既出の通り下調べの甘い私はここに来て時間を持て余すことに。

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人が居なさすぎる商店街

ここは鳥取駅から大通りを1本渡ったところにある商店街。火曜日とはいえまだ18時なのだがあり得ないほど人が居ない。というか無人だよね。これが地方のリアルなのだろうか。

市役所横イオン(イオン鳥取店)に行って感じたのだが、地方都市あるあるで「イオンができたせいで商店街が寂れる」というのがある。しかし鳥取の場合は商店街どころか商店街キラーのイオンでさえ寂れてしまっている。一人旅で感傷に浸るにはもってこいの風情ではあるのだが、もはや街から人が消えかかっているのではという懸念を感じずには居られない。

 

この時持て余した時間を使って大阪ではなく鳥取で夜ご飯を食べてしまおうかという気になったが思いついた時点で惜しくも時間が足りず敗退。

 

 

鳥取市、僅か6時間半の滞在時間だったが大満足。久しぶりに日本海というものも見れたし、静かな街故に1人の時間にたっぷり浸ることができた。また山陰へ旅したい。

いよいよ改札へ。

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県庁所在地なのに未だ駅員さんによる手動改札

愛知県民、さすがに驚いた。

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さらば鳥取

鳥取18:40⇨新大阪21:12(特急スーパーはくと14号)

 

車窓は真っ暗で何も見えない。少ない乗客の車内で鳥取の思い出に浸りながらうとうとしていたら大阪まで帰ってきていた。

 

 

2021/12/14 21:20

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場所は打って変わって新大阪駅。帰りの特急で雑に調べた中で良さそうなお好み焼き店へ。

時刻は21時を過ぎている。明日も朝が早いのでささっと大阪名物を食べて宿へ向かいたいところ。

 


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おひとり様、新大阪でコークハイを飲みながらお好み焼きを食らう、の巻。めちゃくちゃ美味しかったし、朝5時から重い荷物を背負って活動しており疲労は相当なもの、コークハイ1杯でしっかり酔えた。

 

 

2021/12/14 22:08
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大きな荷物を背負った酔っ払いは新大阪駅から地下鉄御堂筋線沿いに北へ徒歩15分。東三国駅近くのカプセルホテル【公式】新大阪のカプセルホテルJ-garden(ジェイガーデン)へ。とにかく宿代を安く済ませたかった私はbooking.comで低価格かつ評価の良さそうだったこちらをセレクトさせていただいた。お値段何と2500円。人生初のカプセルホテル。泊まってみたかったんだよねえ。

 

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カプセルの並ぶ通路。大部屋の中にカプセルがいくつも並んでいるがその大部屋は男女別になっており女性旅行客にも安心な造り。シャワーもラウンジも洗面所、ドライヤーも、ナイトウェアもあり寝るだけなら値段も相まって私は十分だと感じた。

 


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こちらがカプセルの中身。布団と枕、時計、コンセント、照明スイッチなど、必要最低限の設備しかないが全くもって十分だ。カプセルホテルなので鍵はないがロールカーテンを下ろすことができ、プライバシーも少しは配慮されている。貴重品はロッカールームがあるのでそちらに入れておこう。

 

人生初のカプセルホテル、当たりを引いたのかもしれないが良宿泊先だった。昔事情により止むを得ず深夜2時に会員登録をして泊まった某チェーンネカフェの鍵付き個室とは雲泥の差だ。(そもそもネカフェはホテルではない。)

 

 

酔いが回り続ける最中、日付は変わり12月15日0時過ぎ、四角い箱のなかで眠りについた。

 

 

2022/03/07:投稿

2023/11/25:再投稿