そのひぐらし

旅だけがアイデンティティ

"どこでもきっぷ"で関西を好き勝手旅した話 Part3

2021/12/15 07:16

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人生初カプセルホテルで無事に定刻通り起床し、眠い目をこすりながら新大阪駅へ徒歩15分。少し構造を覚えてきた大きな駅構内で和歌山方面行き特急「くろしお」の表示を探す。遠い行先を見つけると心が色めき立つ。

昨日は日本海へ。今日は太平洋へ。

 

 

改札を抜けてホームへ。派手なパンダ顔の電車が停まっている。道ゆく人は珍しい電車を画面に収める。

運転席直下にある子どもパンダが可愛すぎるし、テールライトをつけたパンダはまるで怒っているかのよう。朝早くから運動させてごめんね。

 

側面にまわると先程の可愛いイラストとは違って実写パンダが...いや、実写パンダも可愛いんだけどね?

この特徴的なパンダトレインは2020年から運行されている「パンダくろしお サステナブルSmileトレイン」という電車で、沿線にある人気テーマパーク「アドベンチャーワールド」とのタイアップで実現したものだという。6両全てに異なるイラストが施され、細部まで凝った仕様になっている。

アドベンチャーワールドといえば何よりもパンダ。パンダ大好きな私は今回1人でアドベンチャーワールドに突撃してやろうかと思ったものの、却下。ちなみに過去2015年と2018年に行ったことがある。

 

平日早朝、リゾート地に向かうとは思えないスーツ姿のビジネス客を僅かに乗せた特急くろしお号は和歌山に向けて新大阪駅を出発した。

 

・特急くろしお1号 新大阪7:33→串本11:06

眩しい朝日を浴びて朝ラッシュの街を静かに通り抜ける。人で溢れる駅をリクライニングする快適な指定席に座って眺めるのは心地が良い...。

 

後ろを振り返ればまたここにもいっぱいのパンダ...。抜かりない。

というか本当に可愛い。

 

雲ひとつない冬晴れの車窓を眺めながら串本駅まで遥々3時間半。

時刻は既に11時をまわり、陽もだいぶ高くなってきた。

本州最南端の駅、串本駅に下車して早速鳶の一声。海辺にやってきたんだなと実感。

さっきまで大都会に居たのに気づけば潮が香る爽やかな海辺。旅行大好き。

 

 

2021/12/15 11:23

串本駅から国道沿いに歩くこと15分ほど。

浜辺に出てきた私は海上に並ぶ岩々を目撃。

直線状に岩が立ち並ぶ姿が橋の杭のように見えることから橋杭岩と呼ばれている。

 

これが、橋杭岩...

 

先ほど"本州最南端の駅"と書いたが、ここ串本町は本州で最南端の自治体。つまるとこ何でも本州最南端になりうる。ここ道の駅も本州最南端。(ちなみに道の駅よりもJRの串本駅の方が南にある)

 

 

道の駅の名が示す通り、駅の前はもう岩だらけ。

 

...確かに妙な光景ではある。

 

ここで2人揃った写真を撮って欲しそうな老夫婦に声をかけ、写真を撮ってあげる代わりに私も写真を撮ってもらった。一人旅には貴重な他撮り。

 

 

穏やかな水辺でスズメが何かを貪っている長閑な光景。柔らかな日差しが私を包み、12月なのにも関わらず暖かい。

 

 

次のバスまで時間があるのでしばらくカメラを弄る。

アーバスがやってきて多くのおじいちゃんおばあちゃん達が降りては写真を撮り、すぐに戻っていく。

私は1人、無言でシャッターを切る。しかもこの男、カメラの扱いが上手くないと来た。

長閑な時が過ぎる。

凄く長居をした気分だったが、まだ串本駅に着いてから50分しか経っていないらしい。

 

 

11時57分、送迎車やんっていうサイズのコミュニティバスに乗車し橋杭岩を後に。

・バス 橋杭岩11:57→串本駅12:00/12:02→潮岬観光タワー12:19

本当は安全上好ましくないことだが運行中、運転手さんと乗客であるおばあちゃんが喋ってたのが印象深い。地域に密着した公共交通機関だなぁ。

 

本州最南端の自治体ならば当然本州最南端の地もある。

潮岬へやってきた。紀伊半島の1番先端、台風中継でやたら言われる場所だ。

やはり串本に来たらここへは行かなければならぬだろう。

 

 

もうこの短時間で見すぎて見飽きてきた、"本州最南端"はここにもある。

 

 

ここにも。しかしこの看板の指し示す先が"本州最南端"なのはロマンある。バックがきらめく青い海なのと合わせて。

 

 

ここが、本州最南端。

 

ここが、本州最南端。

今、1億人もいる全本州民の中で1番南にいるよ。

ちなみに本州最北端は青森県大間町の大間崎、最東端は岩手県宮古市の魹ヶ崎(とどがさき)、最西端は山口県下関市毘沙ノ鼻(びしゃのはな)である。全部行ったことない。

 

 

雲一つない、あまりにも蒼すぎる空だ。人影一つない、あまりにもがらんどうとした最南端だ。

こんな12月も15日とかいうよくわからん中日(この日は水曜日だった)に来るからだよ...。

こんなにも晴れて暖かいからいいものの、曇りで風が強いとかだったら心細かったぞ。

 

写真に写るタワーが先ほどバス停の名前で出てきた潮岬観光タワーで、1960年の竣工という老舗。なるほど昭和を感じる。

 

 

とりあえず観光タワーに登ろうか。

 

事務所で入場券を購入する。相変わらず誰もいない。そして昭和どころか明治村の展示物のような雰囲気を感じる。右のパネルはどうしてそんな異様な風体を晒している。

 

古びたエレベータで1人、上へ。

 

 

視界一杯に飛び込んでくる青。そしてここにも誰もいない。

扉を開けて展望台に出る瞬間、ちょっとワクワクする。

(扉の背が低すぎて頭ぶつけて痛かったのを覚えてる。なんでここだけ一段背が低くなってるのか?)

 

 

先ほどから似たような風景ばかり続いて、この記事の読者さんは食傷気味かもしれないが当の私はどこまでも突き抜けるような海と空の開放感、人っ子1人いない開放感に心躍っていた。

180度以上に広がる、どこまでも続く水平線を眺めると、地球は丸いというのを少し実感できる気がした。

 

 

ここ潮岬を含め、紀伊半島の南部は熊野古道(→2020年秋に来訪済み)をはじめとした自然や歴史の魅力に満ち溢れた土地であるが、あまりの地形の険しさから交通の発達が遅れ、紀伊半島を一周する紀勢本線が全通したのは1959年と昭和も半ばになってからだそうだ。紀勢本線が全通すると東京や名古屋からの便が良くなり、紀伊半島に観光ブームが到来。この潮岬観光タワー(1960年竣工)もそのブームに乗じて建設されたものだという。 

 

熊野古道を訪れた記録

sunshine755.hatenablog.jp

 

しかし近年のレジャーの多様化から旅行客は減少の一途を辿り、今では寂れに寂れ、団体予約食堂や展示室、応接室、舞台など多くの設備を整えた潮岬観光タワーは展望台と売店・食堂のみの営業にスケールを縮小している。

 

 

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その食堂にて近大マグロ丼を食べる。ここも相変わらずだだっ広い空間に数人しかいない。

近大マグロとは近畿大学が養殖施設で人工孵化させた完全養殖マグロであり、30年余りの研究期間を経て、2002年に完全養殖に成功している。

お箸の袋に刻まれた文字の字体に時代を感じる。

 

この定食、1600円と少し割高な気がするのだがこれは近大マグロの付加価値によるものなのか...?近大マグロの相場を知らないので何も言えないが、味は普通のマグロと同じで美味しい。

 

売店で家族へのお土産を購入し、バス停へ。

 

潮岬の滞在時間、僅か75分。駆け足で観光したがそれでも十分に楽しめたと思う。

 

・バス 潮岬観光タワー13:34→串本駅13:51

 

再び串本駅に帰ってきたが、次に乗車する特急まで少し時間があるので駅周りを散策。

これは国道沿いに見つけた24時間営業・年中無休というスーパー。失礼ながら、人口僅か14,000人余り(2022年8月1日現在)の町で採算は取れるのだろうか?ちょっと気になる。

(→お店のHPを見たら現在(2022年8月17日)の営業時間は9時から23時までの様子。いやそれでも長いけどね。)

 

てか向かいにファミマあるやん。

 

 

本州最南端温泉の町

トルコ友好の町

 

少し欲張りすぎていないだろうか...??

いや確かに、トルコ友好の町は本当なんだけどさ...。写真中央少し右にもどこかの温泉の送迎車らしき車が停まってるし...。

(→エルトゥールル号遭難事件:1890年にオスマン帝国(現:トルコ)の軍艦エルトゥールル号串本町沖で遭難し、沈没。串本町民が総出で救助と生存者の介抱にあたったことからオスマン帝国の人々は遠い異国の地である日本に対して好意を抱いたと言われている。)

現在でも串本町はトルコの2都市と姉妹都市として提携している。

 

 

時間があれば串本海中公園紀伊大島にも行ってみたかったがどうもこのギュンギュンのスケジュールの詰め具合じゃ難しかった。

滞在時間僅か3時間ちょっと。本州最南端の駅を出発。

 

・特急くろしお26号 串本14:20→紀伊田辺15:37

また出会ったな。お前。

アドベンチャーワールド行きたいよアドベンチャーワールド。パンダに会いたい。

 

 

 

2022/08/17:投稿

2023/11/26:再投稿